パパ育休 – 180日間の育児奮闘記
今年もその時期が近づいて来ました。
そう、例年10月の第三日曜日に行われる『宅地建物取引士資格試験』です。宅建士資格は、我々不動産業に従事する者にとっては日々の業務に必要不可欠な資格の一つです。
本試験は年1回限り(本年度は昨年度同様新型コロナウイルスの影響により試験地域によっては10月と12月の2回に分けて実施)・試験時間2時間・問題50問(事前登録講習受験合格者は45問)・マークシートによる四肢択一式筆記試験、試験会場は主に大学・専門学校等の施設を終日借りて行われます。受験者は主に不動産・建設・金融業及び他業種従事者、学生、主婦など千差万別です。
私はここ十数年、この試験の監督員として毎年50名程から200名程度収容の教室を数名の監督員とともに受け持っています。
自身の業務スキルアップの為、或いは将来のキャリアアップの為に自らの意思で受験される方々が大半ですが、中には勤務先からの業務命令で仕方なく受験されていると思われる方も少数ではありますが見受けられます。試験開始早々に居眠りを始めたり、周りをきょろきょろされたりするので直ぐに判ります。問題が解けても解けなくても試験終了時間迄退室する事は出来ませんので、そういう方にはつらい我慢の時間となります。
本試験は、年一回限りの試験であり、2時間で50問(1問当たり約2分少々)を解いて行かなければなりませんので試験中は皆さん真剣に問題に取り組まれており、殺気さえ漂う緊張感あふれる独特の雰囲気です。
一方、監督員には受験者が問題に集中できる様細かい配慮を行う事が求められています。監督員同士の私語は当然禁止、着席さえ認められていません。もちろん、不正受験防止が最大の任務であり、試験数日前には従事者講習を受け、当日は試験開始4時間前に会場入りし、教室の設営準備・掲示物の添付、受験名簿・試験問題・解答用紙の確認など作業内容は多岐に渡ります。試験終了後も同様に各種確認・撤収作業等があります。同業の方はご存じだと思いますが、監督員のみならず当日会場で試験運営に携わるスタッフは全て不動産業関係者です。それでも中々の重労働となります。
本試験は合格定員数に縛りのある振るい落とすための試験ではなく、実務的な知識の習熟度を判定する試験内容となっていますが、近年の問題は以前に比べ年々難解になってきている様です。
私も監督員業務終了後、試験問題に向き合いましたが、かつて合格した試験にも拘わらず、業務で使用することのない部分については、すっかり忘却しているのには驚かされました。
眼前の受験者は、1~2年後には私の取引相手となる宅地建物取引士になられているかもしれません。そう考えると、監督員の仕事は、法令改正や税制の改正などを随時習得していくのが宅建士たる自分に課せられた義務なのだと初心に立ち返らせてくれる有難い任務だと感じています。