パパ育休 – 180日間の育児奮闘記
応接室は会社のハート
企業の受付は会社の顔だといわれる。それは間違いないとして、それならば応接室は会社の心意気ではないかと思う。
お客様を迎え入れ、もてなす空間。考えを話し合い、心を通わせる場所。それが会社の応接室ではないだろうか。
SGWの応接室は大小4部屋。それぞれまったく違う雰囲気にしつらえてある。お客様からは「違う部屋も見てみたい」「●番の部屋が好き」などと言っていただくこともある。そんなふうに、勝手なこだわりを楽しんでいただけることがうれしい。
社内の改装時、社員はそれぞれアイデアを出し合った。社員の知らないところで決まるのではなく、社員を含め、いろいろな人から出されたコンセプトを吟味し、何度も相談したと当時を知る役員は言う。
お客様に来社いただくということは、我が社のことを知っていただくチャンス。SGWらしい応接室をつくりたいというところから、ある役割を担う施設の建物をモチーフに、応接室をしつらえることに決まった。
SGWらしい応接室といえば、やはり……
それはゴルフのクラブハウス。 企業の姿勢としてもゴルフのクラブハウスと自社の応接室には共通点が多くあるというのが、ある役員の持論。
いわく「一流のゴルフ場のクラブハウスは、一流のお客様を迎える場所。一流の方々が集い、楽しむための場所である」。そこには親交を深める歓談あり、切磋琢磨する真剣勝負あり、ほっとひと息、いい時間を共有する食事のひとときあり。そのすべてが、そこに集う資格のある方々のためにしつらえられ、スタッフのサービスもそれにふさわしいものだと。それらは私たちがお客様をお迎えするために必要なものだと。
これがこじつけか、心から納得され狙い通りに機能しているものかは、応接室を使う各人の判断になるのかもしれない。けれど、社員間でも「この部屋が好き」「次はあの部屋を使いたい」と話題になり、お客様からもお褒めをいただく空間であることは事実なのだ。
どこまでも“ぴったり”を求めて
ゴルフ場のクラブハウスをモチーフにした空間。
それを実現するため、実際にクラブハウスの設計・監修を数多く手掛けた事務所と共に仕事をしてきた設計者にプロデュースを依頼した。 依頼にあたってこだわったのは、前述のとおり、各部屋をそれぞれまったく違うイメージとすること。どの部屋が何という明確なテーマというよりは、それぞれが個性をもち、その全体がゴルフのクラブハウスというコンセプトのもと、SGWの応接室としてもてなしや感謝の気持ちを表すものであること。
そしてこだわりはあっても、ただゴージャスであったり、有名デザイナーの家具を置いたりということではない。ひとつひとつ、本当に使いやすく良質、センスのいいものをこだわり抜いて選ぶこと。見た目や雰囲気だけでなく、お客様が部屋に入り、椅子に座る。お客様にお茶を出す。話し合いをする。そのすべてが無理やストレスなく行えること。それが本当の意味のもてなしでありサービスであると考えている。
会議をするスペースにはめずらしい円卓は、椅子を収めるとき、引いて座るとき、左右や後ろの空間など、すべてを考慮し綿密な計算をして直径を割り出し、それにぴったり合わせて制作したのだとか。
依頼したプロデューサーと社内の人間が尊重し合いながら意見を出し合い、最良のものを割り出し探す。なければつくる。実際、本当にイメージ通りのもの、すべてがぴったりの寸法のものはなかなかない。だからSGWの応接室には、オーダーメイドのものや、社員が手を加えたものが多い。
神は細部に宿る
すべてのデザインには意味がある。心地よい空間をデザインするためには、そこにあるすべてのものから、そこを使う者の気持ちまで、すべてがマッチしていなければならない。ドイツのモダニズム建築第一人者、ミースが標語として使ったという「神は細部に宿る」の言葉は深いと思う。
一番大きな81番の応接室は、パリに本店をもつスーパーブランドのVIPルームをイメージしている。デスクはオーダーメイド、椅子は生地を探して張り替えている。3枚仕立てのカガミや床に置かれている静物画が話題になることが多い。
社員、お客様ともに人気の高い82番は、円卓とウッディなサイドデスクが置かれ、厚い巾木やカガミのエッチングのしつらいが印象的。ビル自体の仕様として高い天井を生かしながら、カーテンレールが隠れるよう、一部あえて天井高を下げている。部屋に入ったお客様のほとんどが思わずゴルフのスウィングをしてしまう、という仕掛け(?)……全身が余裕で映る大きな鏡が壁に。
来社されるお客様、1回、1回、ひとつひとつのお約束が特別なディールであるように、応接のひとつひとつ、すべて特別な想いで、社員みんなでしつらえている。年末には社員総出で割り振られた場所を掃除する。 年月を経て改装の話も出るようになったが、みんな改装には消極的だ。改装するとしても、このまま変えたくないと思っている。そんな空間に日常的に身を置けること、そんな空間で日々、お客様をお迎えできることは幸せなことだと思う。