パパ育休 – 180日間の育児奮闘記
「業務部」とは?
「不動産業に携わる」と聞いて、一般の方々が思い浮かべるのは営業マンの仕事ではないだろうか。売買にしても賃貸にしても、お客様と直接やりとりをするのは営業担当の仕事であるため、営業のイメージが強いのは当然だと思う。しかし、一つの不動産取引には多岐にわたる専門性の高い作業があり、実は多くのスタッフが関わっているのである。今日はその中の「業務部」の仕事についてご紹介したい。
「業務部」という部署名から仕事内容が想像つかない方も多いが、主に契約書や重要事項説明書など取引に必要な重要書類を作成する部署である。一人の営業マンが取引のすべてを担当し、文字通り一から十までをこなしている会社も多くあるが、当社では重要書類の作成と調査は、その専門性に特化した「業務部」が担っている。これにより、営業担当はお客様と接する時間を多く作れることでより良好な関係を築ける一方、「業務部」には過去の様々な取引を通じて蓄積された知識や経験を生かして、限られた時間で重要書類をまとめあげる。多くの人にとっては人生をも左右する一番大きな取引であるからこそ、当社ではそれぞれの専門性を生かした体制で取引にあたっているのである。
緻密な作業の積み重ね
いざ契約に進むとなると「業務部」は慌ただしく動きだす。まずは物件資料に目を通し、注意すべきポイントを頭に入れながら営業担当と一緒に物件へ向かう。土地や建物の状況を確認し、道路や周辺の状況など、数あるチェック事項を確認しながらくまなく見て回る。隣地との境界を確認するため背よりも高い塀に上ったり、草木を掻き分けて境界杭を探したり、ひとつひとつを直接目で確認していく。なんとなく眺めているだけでは見過ごしてしまうような些細な事でも、後に重要な事に繋がっていくこともあるため、正にプロとしての目を光らす場面である。
そうして物件の状況が把握できたら今度は役所へ赴く。その物件や地域にどのような規制があるか、現地で気になった箇所などを質問しながら、道路や建築にかかわる資料やハザードマップ等、いくつもの窓口を回って取得する。頻繁に役所へ行くため、だいたいの役所の構造は頭に入ってしまう。その後、法務局や水道局などを回り社に戻る。こうした緻密な作業の積み重ねによって契約書や重要事項説明書に記載すべき事項が明らかになったところでようやく書類作成に着手となる。
細心の注意と幾重のチェック
取引の話がまとまればなるべく早く契約を交わしたい、というのがほとんどのお客様の思いである。だから「なるはや」で契約書を作り終えなければならないのだが、そうは言ってもミスは許されない。トラブルを未然に防ぐため、その取引でどのような事が起こりえるかを様々な観点で想像しながら作成する。あと一言の記載がないためにトラブルに発展した、という事がないように、知識と経験、そして想像力を駆使し、時には顧問弁護士に相談しながら契約書を作成する。一定の法律知識や経験を備えた「業務部」の専門性が発揮されるところである。
契約書の重要性は賃貸であっても変わりはない。当社では賃貸期間中の管理までお手伝いさせていただく物件もあるが、そうでなくても、賃貸期間中にいかにトラブルなく、気持ちよく借主様に住んでいただけるか。そして契約終了後はいかに問題なく貸主様にお返しいただけるかが重要となる。賃貸物件は、常に貸主様の持ち物であることに変わりないからである。賃貸期間中に契約書の出番がない物件、つまり何事もない物件も多いが、入居後になんらかの話し合いが必要となった時でも、契約書がしっかりしていればスムーズに進む。不動産取引は同じように見えても一件一件違うため、書き漏らしがないよう、ミスがないよう、そして誰がみても分かりやすいよう細心の注意を払って作成していくのである。
こうして出来上がった書類を部内で一度目を通した後、営業担当と一緒に「読み合わせ」を行う。「読み合わせ」は契約時にお客様へ読み上げるのと同じように、一字一句きちんと読むのである。これはいつもの文章だからとか、読み流すとか、そういった事は一切ない。そうすると誤字脱字以外にも、“ここが違う”とか“もっとこうした方がいい”ということが出てくることがある。いい意味で重箱の隅をつつきあった後、担当役員のチェックが入りようやく契約書類の完成となる。
達成感、あります
「業務部」のスタッフは契約や引渡しの場に同席することはほとんどないため、書類をすべて整えたところで役目は完了し、後は営業担当に託すのみとなる。取引当日、時計を気にしつつも次の取引の準備に取り掛かっていると、程なく営業担当から無事取引完了の知らせが入る。その知らせと共に聞く「ありがとう」。営業担当と安堵しつつも達成感を共有するその瞬間がこの仕事のやりがいを感じるときである。
不動産は関わる方の人生の一部。場合によっては人生そのものという方もいる。賃貸はもちろん、売買のお客様でも、何度もお手伝いをさせていだたく方がいらっしゃる。この仕事に就くまでは“不動産=人生で一度、一世一代の買い物”というイメージだったが、不動産とともに人生を積み重ねていく方が多くいらっしゃるということを知った。
「当社に業務部があることで、お客様に安心して、安全な取引をしていただける」と、以前、営業担当役員に掛けられた言葉を時折思い出しながら、人生のお手伝いを託していただけるお客様の信頼に応えられるよう、「業務部」のスタッフは縁の下の力持ちとして今日も緻密な作業を続けている。