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コラム Column

しなやかな発想力と度胸がカギ?女性がイキイキと活躍できる社会

心を開放できる癒しの時間

皆さんは、どんな趣味(癒しや気分転換)をお持ちですか。

新型コロナウイルス感染拡大防止に配慮した生活を余儀なくされていますが、普段なら仕事帰りの美味しい食事やお酒、旅行やスポーツ、ショッピングや読書、映画鑑賞や観劇など様々な趣味を楽しまれているかと思います。

私の大事な気分転換のひとつが、テレビドラマを観ることです。少し前までハマっていたのはNHK朝の連ドラ、再放送の「おしん」。帰宅して毎日15分間、このドラマを観ることが楽しみで楽しみで…私にとって何よりの息抜きになっていました。(2020年3月時点)

「おしん」は今から37年前、1983年4月から1年間放送されました。平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%は、日本のテレビドラマ史上、最も高い視聴率です。世界73の国・地域でも放送され、世界中から愛される作品でした。放送当時、街では「おしん」と名のつくありとあらゆるものが売られ、「おしんドローム(おしん症候群)」という社会現象まで巻き起こします。

しかし、これほどまでに大きなブームになった作品にも拘らず、「おしん」の生みの親、脚本家の橋田壽賀子さんがこの企画をあらゆるテレビ局に持ち込んでは断られたというエピソードを知ったときは意外でした。当時の日本はバブル景気直前。世の中にはお金や物が溢れ、豊かであることが当たり前になりつつあった時代に、通常の明るく爽やかな朝ドラとは真逆の、暗くて地味な作品なんてと敬遠されたそうです。

「おしん」は戦前戦後の激動の時代が舞台。貧しさや苦労の描写がリアルで、見るに堪えないシーンがクローズアップされがちですが、辛いばかりではなく痛快なシーンもたくさんあります。それはおしんが悲惨なことに直面しても、その逆境に受け身ではなく、開き直って前向きに生きると決心し、持ち前のバイタリティーで状況をどんどん打破していく場面です。

印象的なもののひとつが、おしんが初めて魚の行商をすることになったときに見せる商人魂です。 毎朝浜で競り落としてきた魚を手押し車に乗せ、そこに幼い息子を乗せて、片道1里半の道を売り歩きます。大量に仕入れては安く売るというシステムを早々に確立し、まずは価格でお客の心を掴みました。さらに、ただ売るだけではなくその場で魚をさばいたり、必要とあらば調理して届けたり…。荒天で漁のない日は、他の行商人が休んでいるなか、粕漬けにした魚を売り歩いたり…。そして時には「信頼関係を作るため」と、お客さんの畑仕事まで手伝ったり…。様々な工夫で顧客はどんどん増え、2年後には町に店を構えるほどになったのでした。

「おしん」から学んだ、しなやかな発想力と度胸

新しい挑戦を恐れないこと、既成概念にとらわれず物事を柔軟にとらえてアイデアを出すこと、目標達成のために努力を惜しまないこと…。今よりも女性が生きづらかった時代に、奉公人から実業家にまで上りつめたおしんのしなやかな発想力と度胸の良さには目をみはるものがありました。

そしてそれを描き出した橋田壽賀子さんもまた、女性が働くことがまだ難しかった時代を力強く歩んだひとりです。松竹脚本部初の女性社員として「男社会」であった映画の世界に飛び込み、その後テレビの世界へと踏み出すと大活躍。嫁姑問題や介護、子育て、家族のあり方など、時代の社会問題を映す作風で名脚本家としての地位を確立しました。その力強さや時代を見つめる感覚の鋭さは、まさに女性ならではの感性を活かして切り拓かれた努力の賜物です。

2020年、当社では女性がより活躍できる社会づくりを目指し厚生労働省が改正した「女性活躍推進法」に基づく認定「えるぼし」を取得しました。ありがたいことに、今の私たちはおしんの時代からは比べものにならないほど恵まれた環境で仕事をさせていただけていると日々感じます。この幸せに改めて感謝しつつ、おしんのようなしなやかな発想力と度胸をもって長く働いていきたいですし、女性がイキイキと活躍できる、そんな社会づくりに微力ながら私も貢献していきたいと願っています。

※今回の再放送は2020年3月21日に終了していますが、NHKオンデマンド(有料のネット配信動画サービス)では全話視聴可能です

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