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コラム Column

ナッジ(nudge)

ナッジ (nudge)

ロッジ(山小屋)

ヘッジ(回避、先物取引などを利用して回避(ヘッジ)する取引のこと)

バッジ(所属、階級、資格、免許などを示すためのアイテム)

ジッジ(おじいさん)

ダニー・ホッジ(プロレスラー)

ナッジ理論と呼ばれるものがあります。

私はついこの間まで知りませんでした。

2008年に、米国の経済学者のリチャード・セイラー教授と法学者のキャス・サンスティーン教授によってその理論が提唱され、2017年に、セイラー教授がノーベル経済学賞を受賞したことで、ナッジ理論が一層注目されるようになったそうです。

直訳は「注意を引くために肘で軽く突く」です。

ここから理論を想像すると、混み合った電車で見知らぬ人から肘で押されるような「絶妙に腹が立つ行動の理論」?

もしくは「肘で軽くつく」に特別な意味をもたせ、自分に注意を向けて欲しい「色恋の行為についての理論」?

前者は殺伐、後者はロマンチックですね。

ただ、そのどちらでもありません。

ナッジ理論は行動経済学に分類されます。

ナッジ理論で言うナッジとは、「選択を禁止したり経済的インセンティブに重大な変更を加えることなく、人間の行動を望ましい方向に導く環境設計のことである」と定義されているようです。

なんだか壮大で、わけがわかりません。

わけがわからないままにしておくわけにもいきませんのでナッジの有名な実用例を以下に挙げてみます。

・小便器で便器内に的をつけて、そこを狙うよう細やかに促す。(これにより綺麗な使用と清掃の手間を減らせる)

・階段に登った際の使用カロリーを示すことでエスカレーターやエレベーターよりも階段を選択する人を増やす。

・小売店のレジで並ぶ位置に足のマークを付けることで近年必要なソーシャルディスタンスの適切な間隔に自然と誘導する。

上記は一例ではありますが様々な事柄が普段生活している中で意識的に観察すると遭遇できます。

確かに強制や物を与えることをチラつかせることなく、人のなんとなくの意識にそっと働いて促しているデザインやアナウンスだと思います。

これがナッジでこういったことは「ナッジを作る」「ナッジを設計する」と表現するそうです。

業務上賃貸物件の管理を預かってる中、賃借人の方々にお願いすることがままあります。

・ゴミを適切に分別し、所定の場所に出してもらう。

・真夜中、深夜に隣室に影響が及ぶほどの大きな音や音楽を発生させないようお願いする。

・所定の場所以外の駐輪、駐車禁止。

これらのことなどについて禁則行為の説明やお願いベースでしかアナウンスを行っていなかったように思います。

ここで先の「ナッジ」の考え方を用いることに思い及ばせアイデアを出し、人々のプライバシーに介入することなく賃借する方がよりよい選択を自発的に選択してくれるなら、その価値は小さくないと感じます。

この「ナッジ」。

シュチュエーションに拘らず、様々な場面において用いる価値がありそうです。

禁止やインセンティブを用いないことがナッジではありますが、そこに捉えられず効果的に導き促す手段としての側面に焦点を当て、意識して今後の生活や仕事に組み込めれば自分の生活、ひいては人生をも望ましい方向に変更させる選択アーキテクチャれる可能性を感じます。

物は試し、先ずは小さくても第一歩。

身近な実践として息子が衣服を脱ぎ散らかす行為、これをなんとかして見ようと試みました。

対象(息子)に向けて脱ぎ散らかせたままだと近い未来に損することになると助言という形でのアプローチで今回は試してみます。

「洗濯物を放置するといつまでも洗濯されないぞ」

「そのうち中学生冬の制服の下に着るものがなく、制服の下がスッ裸といった特殊着衣になるぞ」

「昭和の気合の入ったヤンキー以上だぞ」

と問うてみて幾日。

正確にはナッジでなく直接的な損得の話したわけですが、最初はこんなもんです。

自らする行動に促せるような情報を与えて感触を見てみます。

改善されません。

こんなことで効果がないというのは短絡的。

もしかして制服の下がスッ裸でも良いのかもしれません。

次はナッジの具体例で触れたアイデアを元にして試してみます。

対象(息子)が放置した洗濯物に洗濯機に持っていった際の使用カロリーをデカデカとで貼り、洗濯機に「ここに投げ込め」と的をつけてみました。

改善されません。

というか無視されている気もします。

ナッジが万能と勘違いしているわけではありません。

それにしてもここまで通用するかしないかがそれ以前の段階で挫かれるとは・・・。

「注意を引くために肘で軽く突く」どころか、「気づかせるために肘で殴打する」

ぐらいでこの場合は丁度良かったのかもしれません。

それだとナッジにならず本末転倒ですが。

思春期の親への無視力を舐めてかかっていた私の落ち度もあります。

ナッジ使用への道のりはまだ私には困難で遠い目標のようです。

結局散らばった衣服を洗濯機に持っていき洗濯しました。

回転する洗濯物を死んだ魚のような目で見ながら考えます。

もしかして息子は親の行動を望ましい方向に導くようナッジをつくったのかもしれません。

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